Fiera Capitalは、アジア太平洋地域におけるディストリビューション(販売)業務拡大を目的とした長期戦略の一環として、東京オフィスを開設いたしました。アジア太平洋地域において、新設オフィスは同社のディストリビューション活動の中核拠点としての役割を果たすことになります。
Fiera Capital社について
Fiera Capital社は、2003年に設立されたカナダを本拠とする独立系上場資産運用会社であり、その運用資産総額は約1,600億カナダドルに上ります。同社は、様々な地域とセクターの伝統的資産とオルタナティブ資産の両資産クラスにおいて、規律ある確信度の高い投資ソリューションを上場/非上場分野の双方で提供しています。Fiera Capitalグループ傘下には、11の独自の投資ブティックを擁し、北米、ヨーロッパ、アジアに15の拠点を展開しています。詳細については、
Fiera Capital社の公式ウェブサイトをご覧ください。
日本における戦略的ビジョン
Q1: Fiera Capital社の戦略的目標と、日本市場における具体的なバリュープロポジションについて教えてください。 今回の東京オフィス開設のタイミングは、以下の4つの理由から特に大きな意義を持つと考えています。
- Fiera Capitalは日本有数の販売会社のいくつかと既存関係があり、彼らを助け、支援するためには、現地に拠点を構えることが理に適っています。
- 我々は、日本の機関投資家および個人投資家の資産配分において、大きな戦略的シフトが起きていると考えています。個人投資家は現金比率、機関投資家は債券比率の高いポートフォリオを保有してきましたが、こうした資金プールは今まさに動き始めています。機関投資家は、インフレ耐性を備えたインカム獲得の手段として非上場資産に注目していますが、日本における非上場資産への投資浸透度は、グローバルの同業と比較して依然低い水準にあります。個人投資家は、過去2年間の株式人気の高まりやNISAを通じた株式への資金流入の増加を背景に、株式へのアクティブな資産配分が拡大しています。Fiera Capitalは、こうした資産配分の戦略的シフトに応える優れたプロダクトを有しています。
- Fiera Capitalのマルチ投資ブティック・モデルに日本特化型ポートフォリオを加えることを検討する上で、今は非常に興味深い時期です。これはかねてより構想してきたことであり、当社は日本株式および日本のプライベート・エクイティに対して前向きな見方をしているため、彼らの海外販売網の拡大を共に目指せる国内運用会社パートナーを是非見つけたいと考えています。Fiera Capitalは、グローバルに展開する大規模なディストリビューション(販売)ビジネスを有しており、日本の上場または非上場資産のプロダクトを発掘して販売し、日本の同資産市場の成長に資することに関心を持っています。
- 構造的な円安のストーリーが永遠に続く可能性は低いと考えており、現在の円の割安な水準は、東京拠点を設立する上で魅力的なタイミングであると捉えています。
以上が4つの主要な理由です。敢えて5つ目を挙げるとすれば、Fiera Capitalが協働できる戦略的パートナーをより多く見つけることです。当社は既に全ての大手ゲートキーパー(運用会社)の皆様とお話をさせていただいています。他方で、Fiera Capital傘下には11の投資ブティックがあり、そのうちの多くのブティックと日本の大手資産運用会社とのパートナーシップを是非実現したいと考えています。
Q2: Fiera Capital社はどのくらい前から日本進出を構想しており、今回のタイミングに至った要因は何ですか。 Fiera Capitalは、3~4年前まで従来から中央集権型のディストリビューション(販売)モデルを採用してきました。これは中小規模の運用会社にとっては理に適ったモデルです。しかし、運用資産が現在の約1,200億米ドルという規模にまで成長し、当社が最大級の独立系資産運用会社であるカナダという中核市場を越えて事業を拡大していくためには、国際的でグローバルな販売モデルが不可欠となります。3年前、当社は中央集権型の販売モデルから地域別の販売モデルへと移行し、現在では米国、欧州/中東、アジアのそれぞれに販売責任者を置いています。地域別販売体制により、ターゲットとする顧客層を拡大できるだけでなく、現地での関係構築も可能となります。これらは等しく重要なことだと考えています。同時に、当社はアジアおよび欧州/中東における戦略的優先事項について検討を始めました。欧州/中東においては、中東を明確な優先地域と位置付け、カタールとドバイにオフィスを開設しました。両拠点は当社にとって有力な資金調達源となっています。アジアについては、販売の観点から日本を計画の中心に据えるべきだと判断しました。当社は香港とシンガポールにもオフィスを有していますが、日本における事業機会は特に大きいと見ており、東京にオフィスを開設することは極自然な流れでした。当時アジアの販売責任者を務めていた前任者のRob Pettyは、1年をかけて日本市場を調査し、外部販売会社との関係を構築していました。これはこのプロセスの初期段階においては合理的でした。そして2年前に彼が私を採用した際には、東京にオフィスを開設し、現地でビジネスを構築するという明確なミッションが与えられていました。
Q3: 東京拠点設立によって、既存および将来的な日本の投資家との関係性強化はどのように期待されていますか。 まさに雲泥の差です。海外から日本との長期的かつ持続可能なビジネスを構築することはできません。私は1日に大体3~5件、年間約300~400件の面談を行っていますが、これは海外から出張ベースで来日していてはとてもできないことです。また、オフィスに有能な日本人スタッフがいることも非常に重要です。当社の現地スタッフの存在は極めて大きく、私にはできないことを数多く担ってくれています。大手資産運用会社との販売パートナーシップの締結が近づくにつれ、多くのコミュニケーションと対話が必要になります。日々、日本語で対応しなければならない電話やメールが寄せられるため、現地に人員を置くことは、日本で長期的な関係を構築する上で必要不可欠です。現地オフィスがなくても、3~4件のLPファンド出資者やその他の重要顧客を獲得することはおそらく可能でしょう。しかし長期的で持続可能なビジネス関係を築くには、物理的な拠点が必要なのです。
なぜ東京を選んだのか
Q4: 日本拠点として東京を選定された主な理由は何ですか。 ロンドンが英国の金融の中心地である様に、東京は日本の金融の中心地です。主要な金融持株会社、コングロマリット、販売会社はすべて東京に集積しています。他の都市にも重要な資金プールは存在しますが、やはり東京に拠点を置く必要があります。1日に3~5件の顧客面談を行うとすれば、東京には私が面談すべき企業が少なくとも200~300社は存在します。日本の他の都市が重要でないという訳ではありませんが、東京は日本の金融の中心地であり、今後もそうあり続けるでしょう。
Q5: 日本国内の都市と比較されたとのことですが、シンガポールや香港といった海外の都市はいかがでしたか 先ず挙げられるのは、日本の資本基盤の圧倒的な規模です。日本には15~20兆ドルの潜在的な投資資金が存在します。公的年金は約3~4兆ドル、私的年金も約3~4兆ドル、そして富裕層市場は約15兆ドル規模で、その半分は現金で保有されています。これは極めて大規模な資金プールであり、アジア太平洋の他地域には、これほどの規模の資金プールは存在しません。世界でも最大級の潜在的投資資金プールの一つです。2つ目は、顧客との近さです。丸の内だけでも、当社オフィスから徒歩10~15分圏内に、国内で最も重要な金融機関の約6割が集まっています。また、東京には非常に多くの人々が訪れます。アジアへ渡航する人の最初の目的地は、東京になりつつあります。外国人訪問者が増えるほどハブが形成されます。外国人訪問者の増加は投資プロフェッショナルの増加を意味し、投資プロフェッショナルが増えれば投資機会も増え、投資機会が増えるほどハブとしての地位が強固になります。正に自己実現的な好循環です。日本の資産運用会社はオープンで友好的であり、新しい運用会社と面談することが彼らの責務でもあるため、面談に応じてくれます。最終的な資金プール(資金の出し手である投資家)へのアクセスは容易ではありませんが、ゲートキーパーである資産運用会社や販売会社へのアクセスは比較的容易です。国内の資産運用会社が、オープンで協力的なパートナーであることを示す様に、政府が後押ししていることも重要だと思います。数十年前に私が日本にいた頃と比べると、英語の問題も改善しつつあります。最終顧客への対応は日本語で行う必要がありますが、現地のゲートキーパーである資産運用会社との最初の直接的なやり取りは英語でも可能です。
香港とシンガポールのオフィスに勤務するスタッフの大半は運用チームであり、販売チームではありません。当社初のシニア販売担当者の採用は日本で行われました(私自身です)。香港およびシンガポールオフィスの販売責任者は、私の採用後に加わった者です。Rob Pettyがアジア責任者に就任した当時から、彼は韓国、香港、シンガポールと比較して、一貫して日本を販売の最優先地域と位置付けていました。
オフィス設立経験と現地でのサポート
Q6: 東京でのオフィス設立にあたり、直面した課題とその対応策を教えてください。 もし私が日本語を話せず、現地での人間関係もほとんどない外国人だったとしたら、かなり難しいと感じたことでしょう。とは言え日本語を話せる私でも、これを一人でやり遂げるのは非常に困難だったと思います。当社の現地スタッフである須藤貴史と久米紗理亜のサポートは不可欠でした。一人ではとてもできることではありません。また明確な指示とスケジュールの提示といった、FinCity.TokyoとVisual Alphaによる支援も極めて有益でした。全体として、これは非常に日本的なプロセスです。もし私が文化的にも言語的にも精通していなければ、はるかに困難なものになっていたでしょう。
ビジネスのしやすさという点では、東京にはまだ改善の余地があると思います。以前より良くなってはいるものの、香港やシンガポールほど容易ではありません。東京は改善し続けていますが、他の2都市は変わらずその優位な水準を維持しています。シンガポールではとても速やかに会社を設立でき、そのために現地で人を雇う必要もありません。これは、より小規模で機動力のある都市が既に実現していることに、東京がいかに速く追いつくかという問題だと言えます。
Q7: FinCity.TokyoやVisual Alphaによる支援について、どの点が特に役立ちましたか。 FinCity.TokyoおよびVisual Alphaから受けた支援には、大変満足しています。
私から見ても、彼らの支援は非常に巧く機能し、大変有益でした。私にとって最も重要だったのは、FinCity.TokyoとVisual Alphaが、我々が従うべき明確なガイドラインとロードマップ(工程表)を提示してくれたことです。久米と私の2人だけだった(設立準備初期段階の)時期でさえ、何をいつまでに提出すべきか、というはっきりした指示と共に、極めて明確なスケジュールに従って進めることができました。やや複雑な日本の手続きを、我々にとって取組みやすいものにするという点において、FinCity.TokyoとVisual Alphaは素晴らしい仕事をしてくれました。
Q8: 設立プロセスを振り返り、東京への進出を検討している他の企業に対してどのような示唆やアドバイスをお持ちですか。 先ず日本語を話せる人材が必要です。そして忍耐強くあること、十分に準備することが求められます。よく耳にする不満の一つに、コンプライアンス責任者の現地設置要件があります。外国企業は、英語で対応できる中央集権型のコンプライアンス・ハブを活用したいと考えているのです。しかし現実には、それは不可能です。日本のシステムの複雑さに対応できる、経験豊富な日本語話者が必要なのです。